新しい森の楽しみ方。五感を研ぎ澄ます、日之影森林セラピー体験-0

新しい森の楽しみ方。五感を研ぎ澄ます、日之影森林セラピー体験

日常を離れ、日之影町の森で五感を解放してみませんか。祖母・傾・大崩ユネスコエコパークに登録され、日本初の森林セラピー基地として認定された自然の中で、専門ガイドが導く「科学的な癒やし」をレポートします。

癒やしの聖地「日之影」で、科学が解明した「森の力」で心身を整える

宮崎県日之影町は、2006年4月、全国で初めて「森林セラピー基地」に認定された6か所の一つで、森林セラピーの先駆けとなる地域です。ここで体験できる森林セラピーは、単なる自然散策やハイキング、森林浴とは異なり、森がもたらす癒やしの効果を科学的に検証し、健康づくりや予防医学に活かすことを目的としたプログラムです。

森林セラピーの最大の特長は、森の癒やしが単なる「感覚」ではなく、医学的なエビデンスに裏付けられている点にあります。樹木が放出する香り成分「フィトンチッド」を浴びることで、免疫力を高めるNK細胞が活性化し、ストレスホルモンが減少することが実証されています。

【体験レポート】森の案内人と行く!「見立遊歩道コース」で五感を解き放つ

今回は、初心者向きの周回コースになっている「見立遊歩道コース」へ申し込み、「道の駅 青雲橋」にある「日之影町観光協会」でガイド料金を支払い、スタート地点へ向かいます。

日之影町の中心部から車を走らせ、深いV字渓谷に沿って奥へ奥へと進みます。九州山地の懐に抱かれるような道のりは、時にすれ違いに気を使うほど道幅が狭く、カーナビの誘導に頼りながらも「本当に合ってる?」と思うほどの山深さです。
しかし、窓の外に広がる日之影川の透き通った清流や、両岸にそびえる木々の美しい景色を眺めていると、日常から遠く離れた異世界へと入っていくような高揚感に包まれます。

車を停めて降り立ったのは、見立遊歩道コースの起点となる「水無平橋」のたもと(かつての宿「あけぼの荘」の跡地)です。ここで、今回同行していただく「日之影町癒しの森の案内人の会」代表の岡田原史さんと合流しました。

車のドアを開けると、凛とした山の澄んだ冷気が心地よく、空気のおいしさを感じます。コースへ足を踏み入れる前に、軽いストレッチからスタート。

ガイドは、ただ道を案内するだけでなく、参加者が安全に、そして五感を開放して自然とつながれるようサポートするファシリテーターです。「昔は頂上を目指す登山ばかりしていましたが、ガイドを始めて、こうして森の音や香りをじっくり楽しむ贅沢に気づきました」と語る岡田さんの言葉に導かれ、「見立遊歩道コース」へと出発します。

「見立遊歩道コース」は、山深い場所にありながら、驚くほど平坦で歩きやすい道が続きます。ここはかつて木材や鉱石を運んだ「森林鉄道(トロッコ)」の軌道跡を利用しているため、心拍数が上がりにくく、リラックス状態を保ったまま、お散歩感覚で歩くことができます。

コース沿いには、日之影川の透き通った清流とともに、ありのままの自然が広がります。カエデをはじめとする落葉広葉樹(雑木)が多く茂っているため、春には鮮やかな新緑、秋には九州屈指と称される見事な紅葉など、季節ごとの劇的な色彩の変化も見どころのようです。

川辺での「呼吸瞑想」

道中、日之影川のほとりで立ち止まり、岡田さんの導きで「呼吸瞑想」を体験しました。岡田さんの「ゆっくり息を吸って、吐いて。川の音に集中してください」という言葉に従い、そっと目を閉じます。川のせせらぎと自分の呼吸のリズムだけを感じていると、日常で常にフル回転している思考がふっと止まるような感覚が訪れ、深い安らぎに包まれます。

特産・柚子のティータイム

瞑想で心身を解きほぐした後は、自然の中での至福のティータイムです。岡田さんが温かい「柚子シロップのお湯割り」を振る舞ってくれました。実はこのシロップは、岡田さん自らが加工し、道の駅などでも販売している商品です。元々ボランティアで日之影町を訪れ、その後役場に勤めていた岡田さんは、地元特産の柚子を使ったシロップなどの加工品がないことに着目し、自ら商品開発を手がけたそうです。

程よい酸味と甘味、ほのかな苦みが、体にじんわりと染み渡ります。デジタルデバイスから離れた静寂の森の中でいただく温かい飲み物は、心身を本来のリズムへとリセットする特別な時間となりました。

神秘的な手彫りの岩トンネル

さらに奥へ進むと、むき出しの岩肌をくり抜いた「手彫りの岩トンネル」が現れます。上部から木の根が這うように伸びる岩のトンネルは、かつてこの地が鉱山や林業で賑わった歴史と、深い森の自然が交差する神秘的な場所です。まるで異世界へつながっているかのような独特の雰囲気を漂わせており、探検のようなワクワク感とともに、コース中盤のハイライトを飾ってくれます。

このトンネルや休憩エリア付近が、周回コースのちょうど折り返し地点です。ここからは舗装されたアスファルトの道に入り、周囲の景色を楽しみながら、スタートから約1時間で出発地点へと戻っていきます。非日常の森の奥深くから、少しずつ生活感のある歩きやすい道へと戻っていくこの帰路は、森で得た深いリラックス効果と清々しいエネルギーを自分の中にしっかりと定着させ、日常へと心地よくソフトランディングしていくような、穏やかな時間です。

Column

日之影町の名前の由来-1

日之影町の名前の由来

日之影町の地名は神話に由来すると伝えられています。神武天皇の兄神・三毛入野命が鬼八討伐へ向かう途中、この地で鬼八の妖術による大雨に見舞われたものの、祈願によって雨が上がり、日が差したと語り継がれています。古語では「影」が日光を意味することもあり、その「日の影」が地名の由来になったといわれています。

日之影町の森林セラピーロード

今回体験した「見立遊歩道コース」以外にも日之影町には5つの森林セラピーロードがあります。

旅の締めくくりは温泉でのリフレッシュ!

日之影の森で、五感を研ぎ澄ませて心身を整えたあとは、全国でも珍しい廃線駅を利用した天然温泉施設「日之影温泉駅」へ。
かつての高千穂鉄道の旧駅舎をそのまま活用したこの施設は、2階がスーパージェットバスやサウナを完備した温泉フロアとなっています。
五ヶ瀬川の清流を一望できる露天風呂もあり、森林散策で心地よく疲れた体を温かな湯に委ね、せせらぎの音に耳を澄ませれば、さらに心身が静かにリセットされていくのを感じられるでしょう。

入浴後は、1階のレストランや物産館で日之影ならではの旬の味覚を堪能したり、お土産を探したりするのも楽しみの一つ。また、敷地内には手軽にリフレッシュできる足湯も併設されており、旅の余韻に浸りながらのんびりと過ごすことができます。

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