【宮崎ジビエ】「命をいただく」を体感する。農泊で味わう本物のジビエと里山の恵み
宮崎の農泊で本物のジビエ体験。猟師の話を聞き、道の駅でジビエを買い、古民家で実食。釣ったニジマスの炭火焼き、臭みゼロのイノシシ・シカ肉のBBQで「命をいただく」を体感しましょう。
宮崎のジビエとは? ~里山の厄介者を極上の資源へ~
フランス語で狩猟によって捕獲された野生鳥獣の肉や料理を指す「ジビエ(Gibier)」。近年、日本でもその栄養価の高さから注目を集めています。
例えばシカ肉は牛肉と比較して高タンパク・低脂質で鉄分が豊富、イノシシ肉は豚肉よりも多くの鉄分やビタミンB12を含んでいるなど、実は非常にヘルシーな食材です。宮崎の大自然の中で育ったこれらの野生動物は、まさに「森の恵み」そのものです。
一方で、宮崎県の中山間地域では、シカやイノシシによる農林作物への被害が深刻な問題となっています。現在、県内ではこれらを単なる「厄介者」として駆除するのではなく、地域の大切な「資源」として活用する取り組みが広がっています。
豊かな自然を守りながら、その命を感謝していただく。宮崎のジビエを農泊で味わうことは、地域の持続可能な取り組みを支えることにつながります。
【インタビュー】現役猟師に聞く「命の現場」 ~農泊「なごみの家」~
「獲物はただ撃てばいいというものじゃない。犬を使って山から追い出し、待ち構えて一瞬で仕留める。それが『追わせ猟(巻き狩り)』です」
そう語るのは、延岡市の農泊施設「なごみの家」の井本人義さん。猟師の家系に生まれ、自身も30年以上のキャリアを持つベテラン猟師です。
ここでは、猟犬と連携して行う伝統的な「巻き狩り」や、獣道に仕掛ける「くくり罠」を駆使して、イノシシやシカと対峙しています。有害鳥獣捕獲の許可を得ているため、年間を通して捕獲が行われていますが、主人によれば、ジビエには明確な「旬」があるそうです。
「イノシシはやっぱり冬場。脂が乗って甘みがあり、ボタン鍋(猪鍋)やすき焼きにするのが最高です。逆にシカは夏場に脂が乗るんです。こちらはタレに漬け込んで竜田揚げにしたり、鉄板焼きで赤身の旨味を味わうのがおすすめですね」。
山だけでなく、川の恵みを知り尽くしているのもこの宿の魅力。目の前を流れる川では、6月から12月にかけて鮎漁が行われます。特に11月頃、産卵のために川を下る「落ち鮎」を狙い、川に青竹や笹(しば)を絡ませて堰(せき)を造り、網を投げる「しばせき漁」という伝統的な仕掛けで漁を行います。
「ここの鮎は天然物が多くて型は小ぶりだけど、苔が良いから香りが抜群にいいんです」。
スーパーに並ぶお肉やお魚しか知らない私たちにとって、猟や漁のリアルな体験談は、「命をいただく」ことの重みと感謝を思い出させてくれる貴重な時間となるはずです。
【インタビュー】異色の経歴を持つ主人が待つ宿 ~「いろどりの里」~
※現在、「いろどりの里」ではジビエ提供は行っておりません。道の駅や直売所などで購入し、BBQができる施設などでお楽しみください。
小林市須木、栗の木や山々に囲まれた静かな場所に「いろどりの里」はあります。川遊びなどが楽しめるこの施設を営むのは、かつて外国航路の機関長として約40年間、世界中の海を渡り歩いた経歴を持つ夏木政和さんです。退職後に故郷であるこの地に戻り、「地域を活性化したい」という熱い思いで、河原を整備して、開業しました。
敷地一帯は四季折々の変化を楽しめる遊び場!
春には桜や岩ツツジ、紫色の山藤の花が咲き誇り、秋には紅葉が里山を染め上げます。すぐ近くには美しい川が流れ、夏場は子供たちが岩の上から飛び込んだり、川遊びを楽しんだりする絶好のスポットになります。
この恵まれた環境を活かしたアクティビティも充実。手作りの釣り堀では、ニジマスやヤマメを釣って楽しむことができます。また、川のほとりにテントサウナを設置し、十分に温まった体を目の前の清流でクールダウンするという、サウナ好きにはたまらない贅沢な体験も可能です。
さらに、手作りのピザ窯や燻製機も完備されており、薪割り体験や、釣った魚やジビエをその場で調理する野外料理など、五感を使った体験が待ち受けています。
五感で味わう「命の味」。炭火で楽しむ原始焼きとジビエ
夏木さんが案内してくれたのは、古民家のテラス。釣り堀で釣ったニジマスを炭火の周りに立てて焼く「原始焼き」が行われていました。じっくり時間をかけて遠赤外線で火を通すようです。
自分で釣った魚をその場で焼いて食べる体験は子供にも大人気というのも頷けます。
その横では、ジビエのBBQの準備も進みます。イノシシ肉は塩焼きに、シカ肉はタレに漬け込まれていました。
「イノシシはやっぱりシンプルに塩が美味しいんですよ。シカ肉は焼く2時間ぐらい前にタレに漬けておくと、ちょうどいい具合に味が染み込むんですよ」。
夏木さんが箱罠で捕獲したというイノシシ肉とシカ肉も炭火で豪快に炙られ、香ばしい煙が食欲をそそります。
焼き上がったジビエを手に、古民家の中へ移動すると、そこには嬉しいサプライズが待っていました。テーブルの上で湯気を立てていたのは、味噌ベースの「しし鍋」です。生姜のきいたコクのあるスープに、たっぷりの野菜とイノシシ肉が煮込まれ、冷えた体に染み渡る美味しさです。
30分以上かけて焼いたニジマスは、皮はパリッと、身はふっくら。30cm級の大きなニジマスでしたが、箸が進み、あっという間に完食してしまいました。
炭火で焼いたイノシシ肉はシンプルな塩味で脂の甘みが際立ち、特製ダレのシカ肉はまるで上質な赤身肉のような柔らかさ。
「臭み? 全くないでしょう。ジビエは血抜きが全てだから」 夏木さんがそう断言する背景には、徹底した鮮度管理と下処理があります。夏木さんは、自身の畑や栗山を守るために「箱罠」を使用していますが、重要なのは「生きた状態で捕獲し、すぐに処理すること」だと言います。罠にかかった獲物を見回りで発見すると、夏木さん手製の槍ですぐに仕留め、心臓が動いているうちに放血を行います。これにより、肉に血が回るのを防ぎます。
さらに処理には、もうひと手間。解体した後、肉を流水にさらしながら「揉み洗い」をするそうです。
「肉を水につけて、血管に残っている血を揉み出してやるんです。そうすると肉が白く綺麗になって、凍らせて解凍した後でも全く臭いがしない」。
こうして丁寧に処理された肉は、夏木さんが「全部自分でやるから、素材がよりおいしくなる」と語るほど、自信に満ちた極上の食材へと変わります。この徹底したプロセスがあるからこそ、ここでしか味わえない自然の恵みに出会うことができるのです。
夏木さんの船乗り時代の話や、初めて100kg級のイノシシを仕留めたときの話を聞きながら、古民家の温かい空間でいただく「ジビエ料理」は、まさにここでしか味わえない贅沢なひとときでした。
道の駅で手に入れよう!農泊BBQのススメ
農泊の楽しみ方は、宿での食事提供だけではありません。多くの農泊施設では、キッチンでの自炊や庭でのバーベキューが可能です。そこで提案したいのが、移動中の「道の駅」や直売所で新鮮なジビエ肉を調達し、宿で楽しむスタイルです。宮崎県内には、猟師から持ち込まれた個体を適切に処理・加工して販売する施設や直売所が充実しており、一般の方でも気軽に購入することができます。
延岡周辺の道の駅でも、イノシシやシカ肉、加工品が手に入ります。スライスされた焼肉用の肉や、猪鍋用に出汁がよく出る「さばき骨(骨付き肉)」、手軽なソーセージなどが冷凍販売されています。
冷凍パックなら移動中の持ち運びもしやすく、保冷剤代わりにもなるため、現地のスーパーで地元の野菜や焼酎も買い込めば、その土地を丸ごと味わう最高の農泊BBQを楽しめます。
取材当時(2026年2月時点)の情報です。時期や施設の状況によっては、実施できない場合もあります。
実施状況については各協議会へお問い合わせください。
■各地域協議会のご紹介
・ツーリズム高千穂郷
(高千穂町、日之影町、五ヶ瀬町、諸塚村、
・延岡ふるさとツーリズム協議会
(延岡市)
・西都市グリーン・ツーリズム研究会
(西都市)
・北きりしま田舎物語推進協議会
(小林市、えびの市、高原町)
・串間エコツーリズム推進協議会
(串間市)
■その他のお問い合わせ先
宮崎県 農政水産部農政企画課 中山間活性化担当
TEL: 0985-26-7049
MAIL: noseikikaku@pref.miyazaki.lg.jp
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