高千穂・日之影・延岡のパワースポット5選|天安河原・石垣の村・名瀑・岩峰をめぐる聖地巡礼
神話のふるさと、宮崎県北部。多くの観光客を引き寄せる高千穂峡や天岩戸神社だけでなく、その隣り合う土地に、まだ静かに眠っているパワースポットがあることをご存じでしょうか。
神々が集まった大洞窟、落差45mの滝が響く谷あい、日本一の石垣を誇る山里、山幸彦ゆかりの清流と岩屋、ヤマトタケルが名を与えた二つの岩峰。祖母・傾・大崩ユネスコエコパークに息づく神話と自然の神秘をご紹介します。
高千穂町から日之影町、そして延岡市へ。西から東へとめぐるルートは、まさにこのエリアならではの聖地巡礼です。
【高千穂町】天安河原|八百万の神々のエネルギーが満ちる、神秘の大洞窟
緑の木々に囲まれた岩戸川沿いの遊歩道を進むと、巨大な岩肌をくり抜いたような洞窟が突然現れます。「天安河原(あまのやすかわら)」は、間口40m、奥行30mの大洞窟で、「仰慕ヶ窟(ぎょうぼがいわや)」とも呼ばれる、高千穂でも屈指のパワースポットです。
日本神話の名高い「岩戸隠れ」の物語。太陽神・天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸にお隠れになり、地上から光が失われた際、困り果てた八百万の神々は、この天安河原に集い、岩戸を開くための神議を行ったと伝えられています。
御祭神は、岩戸開きにつながる策を考えたとされる思兼神(おもいかねのかみ)と、八百萬神(やおよろずのかみ)。「八百万」とは、数限りない神々を表す言葉です。
洞窟の奥へ歩を進めると、地面や岩壁の窪みには、無数の小さな石が積まれています。いつしか訪れた人々が願いを込めて祠を中心に石を重ね、岩屋全体が祈りの場のような空気をまとい、この独特な景観を生み出しています。
天安河原は人気スポットですが、穴場の時間帯は、観光客が少ない早朝。太陽の光が洞窟内部に差し込み、濡れた石の表面に反射することで、無数の石塔がうっすら浮かび上がる光景は、静寂に包まれた洞窟内を、よりいっそう神秘的な空間に演出してくれます。
【アクセス】
天岩戸神社西本宮の駐車場を利用、岩戸川沿いを徒歩約10分
※カーナビは「天岩戸神社西本宮」を目的地に設定してください。
注意:遊歩道は石が濡れて滑りやすいため、歩きやすい靴で。明るい時間帯の参拝が推奨されています。また、大雨のときは岩戸川の増水で、遊歩道が通行止めになる場合もあります。参拝の際は、ほかの人が積んだ石を崩さないこと、そして石を持ち帰らないこと。
【日之影町】八戸観音滝|マイナスイオンに包まれる、女人守護の浄化スポット
県道237号沿い、日之影町の山あいに「八戸観音滝」があります。駐車場から少し進むと、御泊川の水が流れ落ちる、高さ約45mの直瀑がその姿を現します。
切り立った岩壁の中央を、白い水が一筋にまっすぐ落ちていく光景は、繊細ながらもダイナミック。滝壺の近くは、絶え間なく舞い上がる水しぶきに包まれます。新緑の季節は周囲の木々の緑が、秋には紅葉が、滝の白さを引き立てます。
この滝のもう一つの見どころが、左岸(滝を正面に見て右手)の岩壁にぽっかりと開いた洞穴の中に祀られている観音堂です。1823年に近隣の昌竜寺・十世法田長昌住職が聖観世音菩薩像を奉安したのが始まりとされ、洞穴の内部には、如意輪観世音菩薩、子安観音菩薩も併せて祀られています。古くから女人の守護菩薩として信仰され、安産祈願に訪れる人も多いといいます。
周辺は「森林セラピーロード」として整備されており、旧高千穂鉄道の鉄橋や駅舎跡をたどりながら散策を楽しむのもおすすめです。滝の音を背に深呼吸をしながら森を歩くと、自然の中で心穏やかなひとときを味わうことができます。
【アクセス】
県道237号沿いに駐車スペースあり、駐車場から徒歩数分
注意:遊歩道は滑りやすい箇所があるため、歩きやすい靴で参拝を。
【日之影町】石垣の村「戸川」|時を重ねた石が語りかける、山里の静かな気配
日之影川沿いの谷を進むと、急峻な斜面に自然石を積み上げた高い石垣がそびえる集落が見えてきます。「戸川(とがわ)」は、わずか7戸の家々と棚田を石垣が支えてきた山里です。
棚田や家屋の地盤、さらには石蔵や防風垣まで、集落のいたるところが石垣で形づくられています。最も古い石垣は、江戸時代の嘉永から安政年間(1848~1860年)に築かれたと伝わっており、当時の石工は、その技を見込まれて江戸城の修復にも招かれたといわれています。
集落の象徴的な存在が、日本一の高さ11mを誇る石垣。見上げると、自然石を寸分の狂いなくはめ込んだ職人の技に目を奪われます。
集落の棚田は「日本の棚田百選」に選定され、2003年には文化庁の「文化的景観地区」にも選定されました。
神社仏閣とはひと味違う、何代もの人々の手と時間が積み重ねた、土地そのものに染み込んだ生きる力を感じることができます。
【アクセス】
JR延岡駅から車で約1時間、日之影町役場から車で約15分
注意:集落は住民の方々の生活の場でもあります。私有地への立ち入りや、家屋の撮影は控えるなど、マナーを守って訪れてください。
Column
石垣茶屋でうどんランチ
集落の中心に佇む「石垣茶屋」は、古民家を活かした休憩処。現在は温かいうどんを提供しており、散策の合間のランチに立ち寄り、戸川ならではの素朴な一杯を楽しむのもおすすめです。登山客などの宿泊にも対応しており、集落に泊まって朝夕の石垣を眺める滞在も可能です。
営業時間:9:00〜16:00(木曜定休)
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石垣茶屋でうどんランチ
集落の中心に佇む「石垣茶屋」は、古民家を活かした休憩処。現在は温かいうどんを提供しており、散策の合間のランチに立ち寄り、戸川ならではの素朴な一杯を楽しむのもおすすめです。登山客などの宿泊にも対応しており、集落に泊まって朝夕の石垣を眺める滞在も可能です。
営業時間:9:00〜16:00(木曜定休)
【延岡市】祝子川渓谷と神さん山|山幸彦伝説と巨石が放つ、太古のエネルギー
延岡市の最奥部、北川町。「九州最後の秘境」とも呼ばれる花崗岩の名峰・大崩山(おおくえやま)の麓に、「祝子川渓谷(ほうりがわけいこく)」があります。両岸に白い巨岩が連なり、その間を息をのむほど透き通った清流が流れています。
「祝子川」には、神話の英雄ホオリノミコト、いわゆる山幸彦がこの水を産湯に使ったという伝承が残されており、川の名前の由来ともなっています。ホオリノミコトは、天孫ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの子で、海幸彦・山幸彦伝説に登場する神話の主人公の一人。そうした神話にまつわる伝承が、今も祝子川の清らかな流れに重ねられています。
祝子川渓谷から少し離れた場所に、神が宿る巨石として古くから崇められてきた「神さん山」(遺跡名は「巣ノ津屋〈すのつや〉洞窟遺跡」)があります。宮崎県北を代表するパワースポットの一つで、祝子川温泉「美人の湯」から竹林に囲まれた約240段の石段を登ると、その岩屋が見えてきます。
高さ24mと15mの二つの巨岩が互いを支え合い、その隙間に、人の身長ほどの大きさの真三角形の岩が鎮座しています。伝承では、祝子川で幼少期を過ごした山幸彦の岩屋ともいわれ、この場所からは縄文時代の土器も出土しており、数千年前から人々がこの巨石を特別視してきたことがうかがえます。
自然信仰、神話、考古学が重なる不思議な場所に、太古から続く時間の気配を感じることができます。
【アクセス】
東九州自動車道・北川ICから車で約55分/祝子川温泉「美人の湯」駐車場から徒歩約20分
注意:神さん山までの石段はかなりの段数があるため、歩きやすい靴で。大崩山周辺は「祖母山・傾山・大崩山周辺森林生態系保護地域」に指定されており、登山道以外への立ち入り、動植物の採取・損傷は禁止されています。
Column
祝子川温泉で疲れを癒す
神さん山を参拝した後は、「祝子川温泉 美人の湯」へ。弱アルカリ性重曹泉の湯は、湯上がりに肌がすべすべになることから「美人の湯」と名付けられました。露天風呂からは、「九州最後の秘境」と呼ばれる大崩山の岩峰を望めます。
営業時間:10:00~20:00(木曜定休)/入浴料:大人520円、小学生310円
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祝子川温泉で疲れを癒す
神さん山を参拝した後は、「祝子川温泉 美人の湯」へ。弱アルカリ性重曹泉の湯は、湯上がりに肌がすべすべになることから「美人の湯」と名付けられました。露天風呂からは、「九州最後の秘境」と呼ばれる大崩山の岩峰を望めます。
営業時間:10:00~20:00(木曜定休)/入浴料:大人520円、小学生310円
【延岡市】行縢山・行縢の滝|ヤマトタケルノミコト伝説が刻まれた、落差77mの名瀑と岩峰の聖地
延岡市の西部に、ひときわ特異な山容を持つ山がそびえています。標高約831mの「行縢山(むかばきやま)」は、雌岳と雄岳と呼ばれる二つの岩峰からなる山で、そのあいだに、「日本の滝百選」にも選ばれている、落差77mの「行縢の滝」が一筋に落ちているのが見えます。
行縢山の名にまつわるのが、ヤマトタケルノミコト伝説。九州の熊襲征伐に向かったヤマトタケルノミコトが、この地で歩みを止めて山を仰いだとき、その山容が馬に乗る武人が腰に巻く防具「行縢」に、雄岳と雌岳のあいだに落ちる滝が矢の末端の弦にかける二股の部分「矢筈」に似ていたことから、それぞれ「行縢山」「矢筈の滝」と名付けたと伝わります。「布引の矢筈の滝を射てみれば、川上タケル落ちて流るる」という御歌は、今も神楽に歌い継がれています。
行縢山は古くから山岳信仰の御神体として崇められてきた霊峰で、その麓に718年、紀州熊野権現を勧請して建立されたのが「行縢神社」です。古くは「行縢山三所大権現」と称され、伊弉冉命(いざなみのみこと)、事解男命(ことさかおのみこと)、速玉男命(はやたまおのみこと)の三神を祀ってきました。明治期の合祀以降は、ヤマトタケルノミコトをはじめ多くの神々もあわせて祀られています。
杉並木の参道を抜けて境内に入ると、玉砂利が敷きつめられた清浄な空間が広がります。社殿前には独特な顔つきの狛犬、軒下には象鼻などの精緻な木彫りが施され、神仏習合の名残を今に伝えています。境内からは、雄岳の岩肌を間近に見上げることができます。
縁結びを願う方なら、忘れずに訪れたいのが樹齢300年の夫婦杉。根元から二本の幹がぴたりと寄り添うように立つこの巨樹は、長い時間をこの地で重ね、縁や寄り添いの象徴として親しまれてきました。
滝を間近で見るには、行縢神社から登山道を徒歩約60分。日没後は危険なため、夕暮れは境内までの参拝とし、滝を目指すなら延岡市内で一泊し、翌日に訪れるのがおすすめです。
【アクセス】
東九州自動車道・舞野ICから行縢神社まで車で約10分/JR延岡駅から行縢山登山口まで車で約25〜30分/行縢の滝は登山口から徒歩約60分
神話のふるさとを、自分の足で歩く
神々が集まったと伝わる洞窟、二百年の信仰を湛えた滝、何代もの人の手が積み上げた石垣の里、山幸彦の清流と巨石の岩屋、ヤマトタケルノミコトが見上げた岩峰と名瀑。
ご紹介した5つの聖地はすべて、祖母・傾・大崩ユネスコエコパークのエリア内。世界が認めた自然と、千年を超える神話・信仰が今も息づく、エリア内ならではのパワースポットをめぐる旅をしてみてはいかがでしょうか。
■本ページのお問い合わせ先
宮崎県 総合政策部 中山間・地域政策課 地域総合調整担当
TEL: 0985-26-7035
MAIL: chusankan-chiiki@pref.miyazaki.lg.jp
祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク宮崎県エリアガイド