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高千穂酒造株式会社

高千穂町から五ヶ瀬町に向かう国道218号沿い。国見ヶ丘の登り口に高千穂酒造がある。飯干修誠工場長にお話を伺った。

会社の歴史は古いんですか?
昭和51(1976)年に、現在の「高千穂酒造」に社名が変更されました。それ以前は、「玉の露酒造」という名前で、創業は明治35(1902)年です。

焼酎『刈干』の歴史はいつごろから?
うちのメイン商品は『刈干』です。とうもろこし、そばのアイテムがあります。

とうもろこし焼酎『刈干』は昭和40年代に発売しました。それ以前は地産地消で、造ったものは県内だけで消費する、そのくらいの量でした。昭和40年代になって、今までにないとうもろこしを使った焼酎と話題になって、かなりの量を生産して、九州内での販売を始めたようです。その後オイルショックのあおりで、乱売が始まり、かなり経営的に苦しかった時代があります。

高千穂酒造株式会社の写真

高千穂酒造株式会社の写真

高千穂酒造株式会社の写真

高千穂酒造株式会社

昭和50年代に入って、そば焼酎『刈干』で全国に展開しはじめました。そば焼酎を造ったのは県内で3番目ぐらいだと思います。ただ当時は常圧蒸留100%で、なかなか都会では匂いがきついと受け入れられず、数回炭でのろ過を繰り返して、特徴をある程度なくした焼酎でした。

昭和55年頃になって減圧蒸留が始まり、麦焼酎を中心に、飲みやすいタイプの焼酎として広く受け入れられるようになりました。

現在は個性ある焼酎がうけてますから、常圧蒸留で味も香りも濃い焼酎にもどってきている状況です。長期貯蔵の場合、常圧蒸留の方が品質がよくなりますから。

最近ある鑑評会で、減圧蒸留と常圧蒸留の酒質が近づいてきているという評価がありました。減圧は常圧に近いところでの蒸留に、常圧は端麗な蒸留にと接近しているということなんですね。

現在当社は、年間二万五千石を製造しています。内訳は麦が60~65パーセント、そばが20パーセント、残りがトウモロコシと米となっています。

「刈干」…10月頃に、高千穂地方や五ヶ瀬地方で、山の斜面の雑草を刈り取り、冬の家畜の飼料に使うために乾燥させる作業のこと。その時の労働歌として唄われたのが民謡「刈干切唄」である。

ズバリ名付けた新商品『高千穂』はどんな焼酎ですか?
『高千穂』は、黒麹全量仕込み常圧蒸留で造っています。二次仕込みの時に入れる麦は、通常蒸して冷やされたものですが、うちの場合その麦も黒麹菌で麹にして仕込んでいます。手間はかかりますが、昔ながらの焼酎が、今いい動きしてます。『高千穂』の長期貯蔵品を造りたいのですが、今のところ一般品が足りないので、これから徐々に生産を増やしていきながらの課題ですね。原酒も市場で人気があるので、早めに販売に持っていこうと考えてます。ちなみにラベルの文字は、社長(三國岩男氏)の書いたものです。

焼酎造りに大切な割水用の水は、10年前ぐらいから阿蘇の白川水源の天然水、名水百選にも選ばれた水を自社のタンクローリーで年間800トンぐらい運んでいます。
原酒を20度や25度にするだけの水なんですが、これが非常に大事なんです。地元・高千穂の水もいいんですが、うちの原酒に合った水、より以上にうちの焼酎の味を引き出してくれる水というので、かなり探しましたよ。ちょっと高いんですけど(笑)。

カメ貯蔵庫(櫻の郷醸造)

本格焼酎 常圧蒸留
『高千穂』黒麹全量仕込

他にはどんなアイテムがあるんですか?
高千穂という神話の里ですから、『鈿女の舞(うずめのまい)』(米焼酎)や『天甜酒(あまのたむさけ)』(こうりゃん焼酎)という銘柄も造っています。ともに長期貯蔵の原酒で販売しています。

ほかに、リキュールにもこだわった商品を出してます。自社の焼酎と、JA高千穂で収穫した梅を使った梅酒。ちょっとしたお土産にいいと、毎年評判がよくて、おかげさまで毎年品切れの状態です。

縁結びの神様 榎原神社の写真

宮崎・高千穂の『梅酒』のビン詰め作業中

「鈿女の舞(うずめのまい)」・・・天照大神(アマテラスオオミカミ)が天岩戸に隠れ、高天原はたちまちの闇に包まれた。悪神がはびこり、困った八百万神は考えた。岩屋の前で賑やかに振る舞えば天照大神は岩戸を開けるのではないか。そこで、天鈿女命(アメノウズメノミコト)が岩戸の前で面白く舞い踊ると、神々は大喝采。何ごとかと天照大神が岩戸を少し開いたところを、力自慢の手力男命(タヂカラオノミコト)が引き開け、高天原に光が戻った。

「天甜酒(あまのたむさけ)」・・・日本で一番最初に造られた米(穀物)のお酒。この酒を造ったのが、木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)といわれ、姫を祀った都万神社(西都市)には『日本清酒発祥の地」の碑が立っている。

「楽しいですね。自分の好きなことがやれるって」
高千穂酒造 杜氏・下中野健さん

清酒蔵で4年、その後高千穂酒造に来て14年になるという杜氏の下中野健さん。

「楽しいですね、面白いですね。自分の好きな物が造れる、自分の好きなことがやれるというのが一番です。日本酒も焼酎も基本は同じですから、造りにも清酒的な物の考え方や、焼酎独特の考え方があるので、そういうのをミックスしてやってます。

めざしているのは、なるべくいい焼酎を造りたいということ。でも原料もその年で変わりますし、酵母の状況も違いますから、そういうものとやりとりをしながらいい物を目標に造るということでしょうか。目指す「いい物」が、必ずしも「売れる物」とは限らないんですが、我々がこれがいいと思う物になるべく近づけたいですね。

私たちの仕事は、昔ながらの杜氏とは若干違うんですが、原料の見極め、造り、ブレンド、割水して仕上げまでになります。以前と比べて、技術が格段に上がってますから、どうしようもないような失敗はないですね(笑)。工場は現在7名でやってます。焼酎造りは生き物相手みたいなもんですから、休みはあってないようなものですね」

忙しく工場内を移動する下中野さん。急にお話を伺ったのに、インタビュー中ずっと笑顔で答えていただきました。

下中野さんの役職名は、「製造課主任技師」です。

カメ貯蔵庫(櫻の郷醸造)

下中野 健さん

左が2次仕込みタンク、右にあるのが貯蔵タンクの写真

工場の入り口から内部を見る。
左が二次仕込みタンク、右にあるのが貯蔵タンク

蒸し機の写真

洗浄された原料(麦)が、一定の間隔で蒸し機に送られる

ここで蒸された原料は、一次仕込み用、2次仕込み用に送られる。

ここで蒸された原料は、一次仕込み用、二次仕込み用に送られる。

自動製麹機の写真

自動製麹機

自動製麹機の内部の写真

自動製麹機の内部。中の円盤がゆっくり回って麹をまぜる

一次仕込みタンク内部(からの状態)の写真

一次仕込みタンク内部(からの状態)

一次仕込みタンク内部(もろみが入った状態・仕込み一日目)の写真

一次仕込みタンク内部(もろみが入った状態・仕込み1日目)

二次仕込み部屋の写真

二次仕込み部屋

常圧と減圧併用蒸留機の写真

常圧と減圧併用蒸留機

とうもろこしの貯蔵樽の写真

とうもろこしの貯蔵樽。出荷は早いもので1年、長いものは6年貯蔵もある

屋外貯蔵タンクの写真

屋外貯蔵タンク

高千穂酒造株式会社

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更新日:2011年12月1日

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