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落合酒造場

宮崎空港のすぐ近く、宮崎市内に最後に残る落合酒造場を訪ねた。表には住宅や店が続き、裏は田んぼという静かな風景がひろがる。

ここはユニークな原料の焼酎を製造されていることで話題になることが多い。
副代表の落合一平さんに、お話をうかがった。

落合酒造場は、創業は明治42年(1909年)。現在4名のスタッフで年間三百石の焼酎を製造。以前は人を雇用していた時期もあるが、今一度原点にもどってスタッフは家族だけ。

「あまり無理して売らなくていいから、質の追求にその分もっていけるかな」と、味と昔ながらのかめ仕込みにこだわる。
「いまは焼酎も味が問われる時代です。酒屋さんがかなり勉強されていて、多いときは、ひと月に4~5件は見学にみえます。遠い所は北海道、東北からも来られたこともあるんですよ。これまであまり焼酎を知らなかった地方の人たちも、焼酎の味がわかりはじめているんですね。昔は斬新なラベルやパッケージのものだったら、それだけで売れたこともあるんですが、いまは飲み比べてみて、デザインのぱっとしない以前のラベルのものが売れたりするんですよ」
「長く取引が続いているのは、芋(焼酎)だけじゃなくて、芋以外のものまで含めて、全般的に扱っていただいてる酒屋さんです。そういう店は味のわかる店。うちは、いろんな原料にもチャレンジしながら、質のいいものを造っていきたいと思っているので、味がわかってもらえる店とつながっておきたいなーと思います」
「いま人気があるのは、飲みやすい焼酎。つまり、我々が飲んでも芋か米かわからない焼酎です。臭みがない、とか、飲み口が軽やか、とかいわれるような焼酎です。ですが、それに満足しない焼酎好きの舌(嗜好)が始まってきているみたいです。焼酎なら何でもいい時代がじきに終わるのはもう間違いないですね」

屋号は「かねろ」の写真

屋号は「かねろ」江戸時代は飫肥藩にろうそくを納めていた

落合酒造場看板 の写真

落合酒造場看板

落合一平さんの写真

落合一平さん。手に持っているのが、紫芋の新品種ムラサキマサリ

昔ながらのかめ壷仕込みの写真

昔ながらのかめ壷仕込み。ムラサキマサリのもろみはこんなに鮮やか

いろんな原料の焼酎

「焼酎は味はいいけど、どうしても匂いがだめだと、言われることが多かったものですから、何とか香りを付けるものはないものかと始めたのが蓬(よもぎ)です」
「12年ほど前ですか。蒸留しても香りが飛ばないものと、手がけたのがこれ。それから、もっと香りがいいものはないかと追いかけて、行きあたったのがかぼちゃ」
「以前から食品関係の勉強会に入っていたことがあって、その時、食品は香りをものすごく重要視することを習いました。香りがないときはエッセンスいれたりするほど、よい香りは食べ物に必要なものなんですね。
かぼちゃに注目したのは9年前。蒸留すると、芋のにおいがとれて、しかも芋焼酎よりもっといい香りがするんです。今は、いろんなかぼちゃを使っていますが、将来は宮崎特産の日向かぼちゃ一本でいきたいと思っています」
「かぼちゃ焼酎の味は、焼酎より甘くて、繊細です。リキュールとワインの間みたいな焼酎。不思議な味と香りなので、『不思議な焼酎』とつけているんです」
「ピーマン焼酎は3年前です。JA宮崎経済連から"宮崎ピーマン"の焼酎はできないかと持ちかけられて、それなら造ろうかと。ベースは米ですが、原料は緑のピーマンです。おもしろいでしょ」
「飲み口は、後味に若干ぴりっときますね。世界のお酒を飲まれた方にはうけがいいです。スピリッツ系の味、ウォッカとかテキーラとかの部類です。私、実はピーマンが嫌いだったんです(笑)。でもこの時、いろいろテストしなくちゃいけないので、せっせとピーマンを食べていたら、だんだん好きになってきたんですよ。このPRで、確実にひとりファンが増えたってことですかね(笑)。まあ、一度飲んでみてくださいピーマン焼酎を」

ここで、失敗談を語っていただきましょう。

いろんなチャレンジもされてきた、その途中には失敗もあったんじゃないですか?
「そうですね…。さっき香りの話をしましたが、ピーマンを仕込んだとき青リンゴの香りがしたんですよ。このまま出たらすごい焼酎ができると思って、期待してたんですが、蒸留したら立派なピーマンの香り。もともとピーマンの香りを残すのが目的ですからいいんですけど」
あれ、終わりですか。もうないですか?
「かぼちゃは苦労しました。今までの焼酎を造るやり方だと、芋焼酎より匂いが悪いんですよ。このフルーツ系の香りを出すのに3年かかりました。最初はなんでこんなこと始めたんだろうと思いました。これで会社がきびしくなったくらいですから。機械をすごく買いましたもん。簡単じゃなかったですね。余談ですけど、かぼちゃで砂糖をつくるとものすごくおいしいんですよ」
…砂糖ですか?
「そう。黄色で、クリームみたいに上品で。製法は焼酎の造り方と同じで、麹を使って発酵させるんです」
ふ~ん。うまく話をはぐらかされたみたいですね。ところで、麹(こうじ)のこだわりはありますか?
「3年前から、黒麹を使ってます。白麹は白麹で、甘くておいしいですが、黒の方が甘みのキレがいいですね。ひとくちに麹といっても、黒麹には、黒麹NK菌、黒麹ゴールドとか、 白麹にも、L型、白麹、白麹ゴールドというのがあります。それぞれに特長があって、華やかな香りを出すときは、米焼酎にL型を使うとか、日本酒っぽい味を出すときは、白麹でいくとか。
黄麹は日本酒の麹ですが、これを使って甘酒風味を出すとか。これは、熊本の焼酎に多いですね。うちでも、黄麹を一部使う芋焼酎がありますが、風味がちょっと違ってきますね。まぁ、麹については、研究課題はいっぱいですね」
最後に、これから造りたい焼酎は?
「機能性の焼酎ですね。機能性食品といって、生活習慣病の原因ともいわれる体内の活性酸素を取り除く働きをする食品があります。外国に、薬草が何種も入ったハーブ酒(リキュール)があるんですが、これ実は肝臓の薬で、飲むと肝臓にいいというお酒。これを聞いて、機能性焼酎を造ったら、これまでにだいぶ飲み過ぎた人には売れるんじゃないかなと。そんな焼酎、どうですか?」

落合さんの前にあるのが『天蓬莱』(よもぎ)の写真

落合さんの前にあるのが『天蓬莱』(よもぎ)

ムカシヨモギの写真

ムカシヨモギ

宮崎特産の『日向かぼちゃ(黒皮かぼちゃ)』 の写真

将来は、このかぼちゃだけでつくりたい。宮崎特産の『日向かぼちゃ(黒皮かぼちゃ)』

ピーマンの写真

ピーマン

不思議な焼酎『香華』(かぼちゃ)と『緑ゆたか』の写真

不思議な焼酎『香華』(かぼちゃ)と『緑ゆたか』(ピーマン)

裏のラベルの写真。その焼酎に合ったおつまみと飲み方の情報が

裏のラベルには、その焼酎に合ったおつまみと飲み方の情報が

裏のラベルの写真。その焼酎に合ったおつまみと飲み方の情報が

前出のカメに入ったもろみからできた新しい焼酎『赤江』

落合酒造場

  • 宮崎市大字田吉348-1
  • 問合せ/TEL.0985-51-6636  FAX.0985-50-1563

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更新日:2011年12月1日

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