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川越酒造場

国富町は宮崎市の西隣りの町で、町の西北部にある釈迦岳(しゃかだけ)から流れ出す豊かな水は「国富町の水はおいしい」といわれる所以(ゆえん)です。

杜氏は研究熱心な学究肌

国富町の中心部にある川越酒造は創業が江戸時代。このあたりが幕府直轄領(天領)だったころからという歴史深い酒造場です。焼酎を専業としたのは先々代からで、大正9年には、第1回九州沖縄焼酎品評会で金杯を受賞し、代々焼酎造りの高い評価を得ています。
現当主は19代目の川越善博さん、杜氏でもあります。九州大学農学部出身で、持ち前の研究熱心さと焼酎に対する愛情、そして情熱はひと一倍。
「作っても作っても売れない時期がありました。小さな酒造場は大きな広告も出せませんしね」と妻の龍子さん。
丁寧に、真心込めて造り続けた焼酎が、平成11年に世間の注目を集めることになります。同年8月に販売された古酒『川越1972』です。
『川越1972』は、27年間じっくり寝かされた芋焼酎で、アルコール度数は31度。風雅な香りとまろやかな味わいはついつい杯が進み、焼酎愛好家にはたまらない一品ですが、長期貯蔵で数量も少なく、予約の段階で完売となるため「幻の焼酎」とも。
蔵の長い歴史の中でさまざまな銘柄が生まれましたが、現在は本格芋焼酎『川越』、米焼酎『赤とんぼ』、昔ながらの味わいを大切にした『金の露』の3銘柄にしぼられています。

カメ仕込みのこだわり

酒造場にある仕込蔵は明治末期に建てられたもの。歴史を感じさせるほの暗い蔵の中には、柔らかな麹の香りが漂っています。
中でも目を引くのはそのまま埋められ並べられているカメ。深さ150cmほどの大きなカメは、大人一人がすっぽり入るほどの大きさで、容量は760リットルほど入ります。
カメは素焼きで多孔性、遠赤外線の作用もあり、仕込みの状態もよく見えるそうです。
手間を考えると大きなタンクを使った方が効率的ですが、カメで仕込むことは善博さんの杜氏としてのこだわりでもあります。
「焼酎造りに大切なのは五感です。麹の色、発酵、泡、ひび割れを見て、直接手で手触りや温度を確かめながら、焼酎を養生してやります」という善博さん。手間ひまをかけ、手塩にかける焼酎造りの醍醐味でもあります。

安全で健康な焼酎には無農薬の芋が必要

もう一つの大きなこだわりは素材。芋です。
味にこだわり、焼酎に最適と選んだのは『黄金千貫(こがねせんがん)』という甘薯。朝掘った採れたての芋をその日のうちに加工します。長年おつきあいのある農家に、「無農薬、有機肥料で」と依頼されているそうで、「あまりしつこく言ったので、だまっていても“顔に無農薬、有機肥料と書いてあるようだ”と農家の人が言います」と笑う善博さん。朝に採れた新鮮で安全な芋を使う、飲む人の健康も考えたこだわりがここにはありました。

町の焼酎が世界の銘酒になった

長年、地道に丁寧に作りつづけた焼酎の味わいが口コミで全国に広がり、2002年には全日空国際線のファーストクラスで世界の銘酒のひとつとして『川越』が採用されました。以来、「本社の社長の依頼で」と社員の方が直接買いに来られる事もあるそうで、宮崎の焼酎『川越』の味わいは世界にも認められたといえるでしょう。

『全日空国際線ファーストクラスのアルコールメニューより』

「川越」本格芋焼酎(宮崎県)
宮崎市の隣町、国富町に家族だけで焼酎を造るこだわりの蔵、川越酒造場があります。
朝掘りの新鮮な芋を使い、一次仕込みは甕仕込み。
そして、豊かな味わいを生み出す常圧蒸留。
杜氏が丹精込めて造った風味豊かな焼酎を是非ご堪能ください。

全日空国際線ファーストクラスで使われているアルコールメニュー表 の写真

全日空国際線ファーストクラスで使われているアルコールメニュー表

19代目から20代目へ

19代目善博さん、20代目修行中の雅博さんの写真

19代目善博さん、20代目修行中の雅博さん

蔵元の毎日は忙しく、焼酎の状態に合わせ蔵人は工程を進めます。現在では長男の雅博さんが作業に加わり、分きざみの一日の中で、19代目から20代目へと着実に川越の味わいは引き継がれていくのでしょう。
「焼酎造りには5部門の工程があります。一つ一つ手を抜かず1%でも向上していくように改善していきたい」と善博さんは語ります。

そして、長年苦労を共にした龍子さんは、「このようにお客様からうれしい言葉をいただき、本当にありがたいと思っています。人間あきらめずに一つのことに専念していると、必ずうれしい日が来るのだと思いました。高い評価をいただき一番喜んでいるのは主人でしょう。杜氏冥利につきるのではないでしょうか」と、やさしい笑顔を見せて夫を称えました。
小さな町の小さな蔵元ですが、本物の味わいは世界に発信されているようです。

仕込み用の甕と出荷を待つ焼酎のタンクの写真

仕込み用の甕と出荷を待つ焼酎のタンク

歴史を物語る仕込蔵の柱や梁の写真

歴史を物語る仕込蔵の柱や梁、蔵に育まれうまい焼酎になるのかもしれない

素焼きの甕に仕込まれた米焼酎の写真

素焼きの甕に仕込まれた米焼酎


手で触ることで焼酎の状態を確かめる。長年の経験が生かされる瞬間

手で触ることで焼酎の状態を確かめる。長年の経験が生かされる瞬間

発酵段階のタンクの写真

発酵段階のタンク。ボコッ、ボコッと発酵する音がする。焼酎は生きている

発酵も終わり絞られるのを待つ。焼酎独特の香りが漂う

発酵も終わり絞られるのを待つ。焼酎独特の香りが漂う

常圧蒸留のタンクの写真

芋蒸し機

年代物の試溜計の写真

年代物の試溜計。これでアルコールの度数を測る

川越酒造場

  • 所在地/国富町大字本庄4415
  • 問合せ/TEL.0985-75-2079 FAX.0985-75-5111

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更新日:2011年12月1日

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