ひむか神話街道を巡る旅 西都市

盛衰の歴史を刻む土地歴史の記憶に生きる人

西都は、奈良・平安時代には大和朝廷の国衙(役所)と日向国分寺が置かれて国政の要衝として栄え、中世には日向一の戦国武将、伊東氏の本拠地として興隆を極めた。栄枯盛衰を見つめてきた西都の大地。今月は木喰(もくじき)上人の五智如来像と都於郡城址紀行。歴史の息づかいに耳を澄ましてみませんか。
五智如来像。左から、宝生如来、薬師如来、
大日如来、阿弥陀如来、釈迦如来
五智如来の微笑みに癒される木喰上人と日向国分寺
 西都原の大地のふもとにある三宅地区に、「日向国分寺跡」はある。ここに天明8年(1788)、一人の僧がやってきた。木喰上人だ。一角にある「木喰五智館」に入ると五体の巨大な仏像が微笑みかけてくる。
 山梨県で生まれた木喰上人は、56歳で日本廻国の志を発起し、71歳の時に日向国分寺に到着した。請われて住職になるも3年目、寺は火事に見舞われる。木喰上人は、再興の一環として仏像を彫った。ふくよかな頬、大きな鼻、厚い唇。五智如来像は、三宅の住民の顔に似てると言われる。最盛期には200メートル四方もあったという日向国分寺。木喰上人が再興した寺はどのような姿だったのだろうか。今も、住民は五智如来像に日々の安寧を祈る。
 西都市街の南西にある都於郡は、中世、伊東氏が約200年間、居城した場所だ。南北朝時代、祐持が築城して伊東氏の都於郡での歴史が始まる。十代城主、伊東三位入道義祐の頃には日向のほとんどを治めて全盛を極めた。
 標高104メートルの都於郡城址は、本丸跡、二ノ丸跡、三ノ丸跡、西ノ城跡、奥ノ城跡の五つの曲輪に分かれている。西に位置する三ノ丸跡に登ると、なるほど、よくここに城を築いたものだ、と思う。西都の街を見下ろし、北西には九州山地が街を取り囲むように連なっている。はるか西には高千穂の峰。城下には三財川。天然のお堀である。城主たちは、あの山の向こうまでも手に入れたいと野望を抱いたのだろうか。
 伊東氏は、城の周りには出城や寺院を築き、都於郡城を中心とした町づくりを行った。北の守護神として祀った山路毘沙門天、菩提寺である黒貫寺、墓のある大安寺など、都於郡周辺には、伊東氏にまつわる寺や史跡が残っている。
 幸いにも、都於郡城は攻められることはなかった。しかし、木崎原の戦いで島津軍に大敗したのをきっかけに伊東軍の士気は衰える。天正五年(1577)、豊後落ち。落ち武者の中には、わずか8歳の伊東マンショもいた。季節はちょうど今頃、雪のちらつく厳寒の時期だった。今も豊後落ちの道を歩く人々がいる。
 ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの神話の昔。巨大な古墳を作らせた古代文化。国衙と日向国分寺が置かれた奈良・平安時代。そして伊東氏の興亡。西都の大地に立ち、盛衰の歴史に思いを馳せたい。


宮崎での木喰上人の足跡を迹る『木喰−微笑仏に誘われて』
 木喰仏の微笑みに魅せられた5人の女性が、県内の木喰仏の仏像や書画を尋ね歩き、一冊にまとめ上げた。ガイド本としても重宝する一冊。
木喰スマイル会著/1200円
問合せ:鉱脈社 TEL:0985-25-1758
都於郡城址三ノ丸跡からの眺め。三ノ丸は物見櫓的な役割を果たしていた。
都於郡が生んだ偉人伊東マンショ

 天正遣欧少年使節の一人として知られる伊東マンショは、都於郡で生まれた。義祐の孫にあたる。生まれた頃は、伊東家全盛の頃。しかし、豊後落ちで父母と別れて豊後で洗礼を受け、使節としての使命を負う。帰国後も熱心に布教に努めた彼の胸に、あの豊後落ちの苦難はどのように残っていたのだろうか。
曲輪どうしの間を歩く。都於郡城は防衛機能に優れた城であった。
伊東氏の豊後落ちの道を歩きませんか

 毎年、伊東氏の豊後落ちのコース15kmを尾八重の尾根沿いに歩く。ゴールでは山菜料理をいただきます。伊東氏を思いながらあなたも歩いてみませんか。
主催/伊藤義祐公を偲ぶ会


期 間:
1月18日(日)8:00
一ツ瀬川発電所前広場集合
会費=500円
問合せ: TEL/0983-42-3116
(日高不二夫)
TEL/0983-49-3219
(壱岐 覚)
太古、西都は海だった!?都於郡城址のふもとにある鹿野田潮神社の井戸水は塩水で、三里(12km)も離れた海の干満と同じように水の量が増減するという。周辺の温泉も個性的。都於郡散策の疲れを癒しませんか。
高屋温泉
 温泉は、塩分とミネラルを多く含む。空腹時に2リットル飲むという75年前の創業当時からの療法は胃腸に効果がある。伊東氏の武将達が止血に利用したともいわれる。

場所:西都市鹿野田10726
TEL:0983-42-4283
営業時間/8:30〜21:00 休みなし
入浴料=300円
宿泊=一泊二食付6500円〜
山田温泉
 明治38年創業。やや硫黄の匂いがする温泉は慢性皮膚病や乾燥肌に効くと昔から評判だ。杉尾セツ子さんが毎日薪で沸かす湯は肌ざわりが柔らかい。家庭的な雰囲気の中で寛ぎたい。

場所:西都市大字山田4198-1
TEL:0983-44-3741
営業時間/9:00〜19:00 休みなし
入浴料=400円
宿泊=一泊二食付6500円〜


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