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50の物語集 神話編

第二十一話 塩満珠と塩乾珠|宮崎市 西都市

(うみ)(みず)をあやつる不思議(ふしぎ)珠登場(たまとうじょう)

海の御殿(ごてん)“ワタツミの宮”で、トヨタマヒメと結婚した山幸彦。楽しく、幸せな日々が続き、あっという間に三年が過ぎてしまいました。

ある日、山幸彦は大きなため息をつきました。
「・・・はて、私がここにやって来たわけは何であったろうか」
しばらく考えて、ここに来たわけを思い出したのです。

山幸彦のため息を聞いたトヨタマヒメは心配して、父のワタツミにそのことを話しました。

山幸彦の苦しみを聞いたワタツミは、さっそく海にいる魚という魚を呼び集め、釣り針を飲んだ魚はいないかたずねました。

すると集まった魚たちが答えました。
「そう言えば、赤いタイがのどに何か刺(さ)さって、物も食べることができないと苦しんでおります。そんな日が三年も続き、たいそう病みおとろえているようです。そのせいで、今日もここに来れずにおりますが、きっとあの赤いタイがそうでしょう」

ワタツミはさっそくその赤いタイを呼び、のどをさぐってみると、そこには海幸彦の釣り針が刺さっていました。ワタツミは、すぐにそれを取り、洗い清め、そして山幸彦に渡しながらこう言いました。

「この釣り針を兄上にお返しになるときは、『この釣り針はつまらない針、うまくいかない針、貧乏の針、おろかな針』と心の中で唱えながら渡しなさい」

そして、塩満珠(しおみつたま)と塩乾珠(しおふるたま)という二つの珠を山幸彦にさずけて、
「兄上は三年のうちに必ずや貧(まず)しくなるでしょう。そのとき、あなたを憎(にく)んで攻めてきたら、この塩満珠を使いなさい。潮がたちまち満ちてきて、兄上をおぼれさせることができます。もし、兄上があやまって救いを求めてきたら、この塩乾珠を使いなさい。潮は自然と引きます。このようにこらしめ続ければ兄上はあなたに降参(こうさん)するでしょう」と教えました。

こうして、塩満珠と塩乾珠を手に入れた山幸彦は、三年の月日を経て、兄海幸彦に釣り針を返すため、ワタツミの宮から陸に帰る決心をしたのでした。

【潮の井(しおのい)】(西都市)
山幸彦を祀り、山幸彦が海幸彦をこらしめた際に使った塩満珠と塩乾珠をご神体とする鹿野田神社(かのだじんじゃ)の境内にあります。
潮の井は「潮満の泉」とも呼ばれる井戸で、海から10キロ以上離れているにもかかわらず、そこから湧き出る水は塩辛く、また、潮の満ち引きに合わせてその水位が上下するといわれています。

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