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50の物語集 伝説編

第四十八話 石山の実庵和尚|都城市高城町

疫病神(やくびょうがみ)をも(すく)和尚(おしょう) 実庵(じつあん)

高城町の石山の木立ちの中、ひときわあざやかな朱塗(ぬ)りのお寺に伝わるお話です。

今から六百年ほど前、実庵(じつあん)という名の和尚(おしょう)がこの地を訪(おとず)れました。

実庵が、昼なお暗い山の中で修行(しゅぎょう)をしていると、この村の狩人が犬を連れて通りがかりました。

あまりにも怪(あや)しい姿をした実庵に犬ははげしくほえたて、狩人も今にも矢を放とうとしていました。

しかし、実庵は少しもあわてず言いました。

「まてまて。私は仏の道を求めてここで修行をしている者だ。怪しむことはない」

犬にほえられ、矢を向けられても、びくりともしない実庵をみて、狩人は
「この方は、ただのお人ではない」
と思い、自分の無礼(ぶれい)をわびました。

そして、実庵に向かって、
「この下に静かなお堂があります。どうか山をおりて私に仏の心を教えてください」
とお願いし、仏の道を教えてもらうことにしました。

その後、村人たちは、仏の教えを受けながら、毎日朝夕の粥(かゆ)を運んだり、家をつくったりして実庵のお世話をしたということです。

また、こんな話も伝えられています。

ある日のことです。実庵のもとに八人の男たちがやって来ました。

実庵が
「おまえたちは何者か」
とたずねると、八人は
「われわれは天に住む悪病の神です。どうかあなたのお力でわれわれを苦しみから救ってください」
とすがってきました。

自分たちの振りまく悪い病に苦しむ疫病神(やくびょうがみ)たちをあわれに思った実庵は、十七日間にわたって、仏の道を説き、彼らを救ってあげました。

悪病の神たちは、自分たちを救ってくれたお礼にと、
「本源赤身道見天化」
と書かれたお札(ふだ)を差し出し、

「この八字を毎年、春に書き写して村人にお与えなさると、悪い病気は逃げていくでしょう」と言って、姿を消しました。

その後、このお札は、安産(あんざん)や一族繁栄(はんえい)のお守りとして、村人に配られるようになったということです。

【石山観音寺】(都城市高城町)
日向七観音の一つに数えられる古寺で、家内安全・安産の守り神として親しまれています。
寺に向かって左側の岩壁には、約1400年前に日羅上人(にちらしょうにん)がこの地を亀石山と名付けた由来とされる亀の甲の形と、神々がこの寺を建てるため、土地を切り開いた時に乗ったとされる白馬のひづめ跡が残されています。

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