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50の物語集 伝説編

第四十三話 黒荷田のへび権現|日南市北郷町

(おや)へび()へびの(かな)しいお(おはなし)

昔、北郷町の黒荷田(くろにた)では毎年十二月になると、野焼きをするならわしがありました。

ある年の冬のことです。いよいよ大戸野(おおとの)の野原を焼く日が決まり、村人たちはすべての準備を終え、あとは明日の火入れを待つばかりとなりました。

その夜、清左衛門(せいざえもん)という男の家の戸口の方から、とても悲しそうなすすり泣きの声が聞こえてきました。清左衛門がふしぎに思って戸を開けてみると、一人の女がしょんぼりと、悲しそうに立っていました。

「私は大戸野に住んでいる者です。お願いがございます。今、私の二人の子どもが病気で寝込んでおります。明日の野焼きを、しばらく延ばしていただけないでしょうか」

清左衛門は「大戸野には人が住んでいないはずだが…」と思いながら
「いや、それは困(こま)ります。すっかり準備はできているのです。病人がいることはお気の毒ですが、明日の朝にでも、どこかに立ちのいてください」と言うと、ピシャリと戸を閉め女を追い返しててしまいました。

次の日、予定通り、野焼きは行われました。あとかたづけも終わり村人たちが家に帰ろうとしていた時のことです。

「おい!大きな蛇が死んでいるぞ!」

村人たちが駆(か)けよるとそこには、骨だけになった大へびが二匹の子ヘビの骨を抱きかかえるように丸くなって死んでいました。

「かわいそうに。この親ヘビは子どもをかばって焼け死んだにちがいない」

村人たちは焼け死んだ親子のへびをあわれに思いましたが、そのとき、清左衛門だけは、顔がまっ青になっていました。

「あのへびは、昨晩やってきた女にちがいない」

やがて、清左衛門は体が動かなくなり、物も言えなくなって命をおとしました。そして、村には毎年のように悪い病気がはやりました。

「これは、きっとあの蛇のたたりだ」

そう思った村人たちは、親子のへびの霊をしずめるために、小さな祠(ほこら)を建てて、「へび権現」さまとしてまつりました。

それ以来、悪いことはおさまり、静かな日々が村に戻ったそうです。

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