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50の物語集 伝説編

第三十九話 安姫さまの伝説|宮崎市佐土原町

安姫(やすひめ)猿楽役者(さるがくやくしゃ)(かな)しい恋物語(こいものがたり)

昔、佐土原が“田島の庄”とよばれていた頃、田島七郎左衛門という者がこの地を治めていました。七郎左衛門にはとても美しい安姫という年頃の娘がいて、あちらこちらから嫁(よめ)入りの話がきていました。

七郎左衛門は、娘はぜひともりっぱな家に嫁(とつ)がせようと思い、嫁入り先は特にきびしく選んでいました。

そんなある日、都から猿楽(さるがく)の一座がやって来ました。

その中には、若くて美男の役者がいて人気を集めていました。

やがて、いつからか・・・誰からということなく、安姫とその役者が恋仲であるといううわさが流れはじめました。

それを耳にした七郎左衛門は困(こま)りました。娘を猿楽の役者の嫁にするわけにはいかないからです。でも、そのうわさはどうやら本当でした。七郎左衛門はだんだん腹が立ってきて、こらしめのつもりで安姫を池に放り込み、役者との恋をあきらめるように強く言い聞かせました。

しかし安姫の心は固く、父の願いを聞き入れようとはしません。

怒(おこ)った七郎左衛門は、とうとう安姫を簀巻(すま)きにして池に沈(しず)めてしまいました。

数日後、安姫を引き上げてみると、美しい顔の色は少しも変わらず、ほほえみさえ浮かべているではありませんか。おどろいた七郎左衛門は、これはきっと悪い霊(れい)がとりついたにちがいないと、今度は家来に命じて安姫を河原で切りつけ、猿楽の役者も殺してしまいました。

その後、安姫の霊はたたりをなす怨霊(おんりょう)となってさまよい、七郎左衛門の家にも次々に不幸が訪れました。恐(おそ)ろしくなった七郎左衛門は、霊をしずめるために寺を建て、祈(いの)りがささげられました。

安姫の霊のたたりはようやくおさまりましたが、池はいつしか“恋裂(さ)きの池”と呼ばれ、その周辺にはサド草(イタドリ)が茂ったことから、 一帯を「サド原」(佐土原)と呼ばれるようになったそうです。

※神さまメモ「猿楽(さるがく)」
平安時代にはじまった物まねなどを中心としたこっけいな笑いの芸、寸劇のことです。のちに演劇化し、能と狂言になりました。

【安姫(やすひめ)の碑】(宮崎市佐土原町)
昔、佐土原を支配していた田島七郎左衛門の娘で、当時流行した猿楽の美男役者との恋が父の怒りにふれたために殺された悲劇の主人公安姫の墓と伝えられています。

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