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50の物語集 伝説編

第三十七話 稚児が池の伝説|西都市

(むら)(すく)った少年(しょうねん)長千代丸(ながちよまる)

今から六〇〇年ほど前、今の稚児が池(ちごがいけ)はその当時、鶴の池と呼ばれていました。

ある日、大雨が降り、池の土手がこわれ、水があふれて村は水びたしになってしまいました。家も、田畑も水に流され、村人たちはとほうにくれていました。

さて、どうしたものかとみんなで話し合っていると

「鶴の池にはむかし黒と白の二匹の大蛇(だいじゃ)が住んでおった。その大蛇は今はこの池の底に埋(う)められている。土手がこわれたのはその大蛇の霊(れい)のしわざにちがいない。霊をしずめるためには人柱(ひとばしら)をたてねばならぬ」
という声が上がりました。

そこに、一人の少年が通りかかりました。長千代丸という十四才の少年でした。

長千代丸は
「明日の朝早く、うすい黄色の着物を身につけた人が通ります。その人を人柱にするとよいでしょう」
と言いました。

村人は、長千代丸の言葉をまるで神のお告げのように思い、次の朝さっそくその場所に行ってその人が来るのを待っていました。

やがて、向こうから本当にうすい黄色の着物を着た人が歩いてきました。それは何とあの長千代丸本人でした。

長千代丸はにっこり笑い
「私が人柱になりましょう。私の死をむだにしないでりっぱな土手をつくってください」

こう言うと、長千代丸は、池のほとりに正座(せいざ)して腹を切りました。長千代丸は、竜の霊をしずめるために池の底に埋められ、その後、村人たちは力をあわせて土手をつくりあげました。

それ以来、一度も池の土手はこわれることなく、いつも水をたたえて村の田畑に豊かな実りをもたらしたそうです。

※神さまメモ「人柱(ひとばしら)」
昔、橋をかけたり、城を築いたりするようなむずかしい工事のときには無事に完成することを願って、人を水底や土の中に埋めることがあったそうです。

【稚児(ちご)が池】(西都市)
都萬神社から西都原古墳群に通じる道路脇にあります。
昔、この池の下に埋められた黒と白の二匹の大蛇の霊力で池の堤が壊れた際に、その霊を鎮めるため、長千代丸という少年が十字形の切腹をして人柱となったところ、その後は堤の決壊もなくなったと伝えられています。

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