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50の物語集 伝説編

第三十一話 恵良八幡の伝説|五ヶ瀬町

()(まも)るはずの(かたな)命取(いのちと)りに…。
   五ヶ瀬(ごかせ)(つた)わる()武者伝説(むしゃでんせつ)

今から四百年ほど前、高千穂の三田井氏が攻撃を受け、負けてしまったときの話です。

一人の侍(さむらい)が追っ手からのがれて、五ヶ瀬の内の口というところにたどり着きました。

命からがら逃げてきたその侍は、甲斐繁左衛門という人の家に駆(か)け込みました。

「敵に追われています。どうか助けてください」

「屋根裏に桶(おけ)があるから、その中にお隠(かく)れなさい」

繁左衛門は、こう言うと、はしごをかけてその侍を屋根裏に上げ、かくまってやりました。しばらくすると、追っ手が繁左衛門の家にやって来ました。

「この家に落ち武者(むしゃ)が来たはずだ。その者を出せ」

しかし繁左衛門は
「その者なら、いましがた、あちらの方向に走っていきました。うそだと思うなら家中をさがしなさるがよい」
と答えました。繁左衛門があまりにきっぱりと言うので、追っ手の兵はあきらめてその家を出て行きました。

「もう安心です」
侍は繁左衛門にあつく礼を言うとけわしい山道を、ふたたび必死に逃げ始めました。やがて侍は疲れはて、草むらの中で休んでいましたが、追っ手がすぐ近くまで迫ってきたので、じっと息をひそめて隠れていました。

その時です。侍が腰にさしていた「蛍丸(ほたるまる)」という名の刀が、まさしくホタルのように光ったのです。
その光に気づいた追っ手の兵たちは、侍を見つけると、その場で首をはねてしまいました。

あわれに思った村人たちは、その侍を手あつく葬(ほうむ)り、祠(ほこら)を建ててその霊(れい)をなぐさめたといいます。

【恵良八幡(えらはちまん)神社】(五ヶ瀬町)
五ヶ瀬町尾原地区にあり、高千穂の三田井家落城の際に、追っ手から命からがら逃げてきた落人が追い詰められ、討たれたところといわれています。
哀れに思った村人たちが、その霊をなぐさめるために祠(ほこら)を建てたのが当神社の始まりといわれています。
また、鎌倉時代に作られた鉄製の狛犬一対と、「五間社流造(ごげんしゃながれづくり)」の本殿は国の重要文化財に指定されています。

【槍飛(やりとび)橋】(高千穂町)
高千穂峡にあり、五ヶ瀬川で最も川幅の狭いところです。
昔、高千穂の三田井家落城の際に、城を脱出した家来たちが、ここに逃げてきたとき、橋がないので槍を使って川を飛び越えようとして、槍の柄を手前の岸について飛んだ者は渡り、向こう岸について飛んだ者は川に落ちたとのことから、この名がついたといわれています。

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