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50の物語集 伝説編

第三十話 あかぎれの童子|高千穂町

祖母山(そぼさん)大蛇伝説(だいじゃでんせつ)

昔、祖母山のふもとに塩田の太夫(しおたのたゆう)というお金持ちがいました。そして、その家には「花の本(もと)」という名の美しい娘がいて、大事に大事に育てられていました。

ある、秋の夜のことです。りっぱな身なりの若者が花の本を訪(たず)ねてきました。それからその若者は毎日のようにやってきて、いつしか二人は心をひかれあう仲になっていました。

そのことを知った両親は心配して娘にたずねました。

「あのお方は、どこの誰なのですか」
「私がいくらたずねても、教えてくださらないのです」
と花の本は答えました。

母親は
「それではいい考えがあります」
と言うと、娘に針のついた糸まきを渡し、
「今度、その方が来たら、その方の襟(えり)の後ろにこの針をそっと刺(さ)しておきなさい」

花の本は、次の日、訪ねてきた若者の襟に母から教えられたとおり、針を刺しておきました。

夜が明けると、両親と花の本はさっそくその糸をたぐりながら、その若者のあとを追ってみると、糸は、祖母山の中腹にある大きな岩屋までつながっていました。

花の本は、岩屋の中に向かって
「あなたを追ってここまで来ました」
とさけびました。

すると中から
「私はこの山の主です。昨夜首に針が刺さって苦しんでいます」
という言葉がうめき声と一緒に聞こえたかと思うとまもなく大きな大きな一匹の蛇がでてきました。

何と、毎晩花の本を訪ねてきていたのは、祖母山に住む大蛇(だいじゃ)だったのです。そして、あろうことか、花の本のお腹(なか)の中には、大蛇の子がやどっていました。

大蛇は、
「そなたが生む子は、九州で一番の勇者になるであろう」
と言い残し岩屋の奥に入ると、二度と姿を見せることはありませんでした。

しばらくして花の本は元気な男の子を生みました。

その子は、大きくなるにつれて、はだしで野山をかけまわり、夏でも足にあかぎれができたことから、みんなから「あかぎれの童子」と呼ばれたということです。

※神さまメモ「三田井氏(みたいし)の祖先(そせん)」
花の本が生んだ子は、“大神大太惟基(おおがだいたこれもと)と呼ばれ、その五代目の子孫は源氏方の尾形三郎という大変強い武士になりました。尾形の子孫は、後に高千穂を治めた三田井氏の祖先だと伝えられています。

【祖母山(そぼさん)】(高千穂町)
カムヤマトイワレヒコ(神武天皇)の祖母であるトヨタマヒメを祀る石の祠(ほこら)が山頂にあり、この山の名前の由来といわれています。
標高は1,757mで五ヶ所高原の三秀台からの眺望の美しさはよく知られています。また、7合目付近にある風穴(ふうけつ)は夏でも氷が張っている不思議な洞穴です。

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