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50の物語集 伝説編

第二十七話 ミケイリノミコトの鬼八退治|高千穂町

高千穂(たかちほ)のあばれ(おに)

鬼八は、二上山の乳ヶ岩屋(ちちがいわや)に住む暴れ鬼。たびたび山をおりては、高千穂のあららぎの里の鬼ヶ岩屋にも住み、ウノメヒメという美しい姫をむりやりさらって、自分の妻にしていました。

ある日、ミケイリノミコトが五ヶ瀬川のほとりにある七つが池のあたりを散歩していると、水鏡に美しい姫の姿が浮かび上がりました。

「お美しいあなたは、何というお名前ですか?」

「私はウノメヒメと申します。鬼八にさらわれ、ここに連れてこられました。とても悲しんでおります。どうか助けてください」
と答えました。

「何と・・あの恐(おそ)ろしい鬼八と一緒にいるとは。よろしい。私が鬼八を退治し、あなたを自由の身にしてさし上げましょう」
と、ミケイリノミコトはウノメヒメに言いました。

さっそくミケイリノミコトは、四十四人の家来を引き連れて、乳ヶ岩屋に出かけました。

鬼八は、夜になると岩屋の中にこもってしまうので、日が沈む前に倒さないといけません。

「日よ、今しばらく照らしたまえ」

ミケイリノミコトがこう唱えると、ふしぎなことに日は山の頂上で止まり、あたりを明るく照らしつづけました。

しばらくすると、鬼八が岩屋に帰ってきました。
「こいつらは何だ。これだけおおぜい敵がいるとさすがの俺様でもかなわん」

おおぜいの勇者が攻めてきて、さすがの鬼八も別の穴から逃げ出しました。

二上山(ふたがみやま)を越え、三ヶ所(さんがしょ)、諸塚(もろつか)、米良(めら)、さらに肥後(ひご)に入り八代(やつしろ)、阿蘇(あそ)まで一気に駆(か)け巡(めぐ)った後、しばらく祖母山(そぼさん)に隠(かく)れていましたが、結局、ふるさとの二上山に戻ったところを、ミケイリノミコトに斬(き)りつけられました。

それでも、鬼八は死にません。さらに逃げまわり、大木を抜いて振り回して戦いましたが、追っ手の家来と取っ組み合いになったところを、ふたたびミケイリノミコトにバッサリと斬られて死んでしまいました。

そして、大きな大きな石で押さえられて土の中に埋(う)められてしまいました。

ところが、魔力を持つ鬼八は、土の中でうなり声をあげたかと思うと、一夜で体が元のようにつながり、大きな石をも動かしてかんたんによみがえったのです。そして、これまでにも増して暴れ鬼となり、村人を不幸な目にあわせはじめました。

「おのれ。鬼八め。生き返りおったか。今度は何としてでも息の根をとめてやる」

ミケイリノミコトは、またまた、鬼八を斬りつけると、今度は、二度とよみがえらないよう鬼八の体を頭と胴と手足の三つに切り離(はな)し、別々に埋めました。

さすがの鬼八も今度は息をふきかえすことはありませんでした。
こうして高千穂の里に静かで幸せな日々が久しぶりに戻ってきました。

ところが、今度は鬼八の霊(れい)は毎年のように早い時期に霜(しも)をふらせて作物に害を与え、お百姓さんを困(こま)らせたのです。

そこで、人々は鬼八の霊をなぐさめるためのお祭りをしました。すると、その後は、早く霜がおりることはなくなり、作物の実りもよくなったということです。

なお、ミケイリノミコトは、ウノメヒメを鬼の岩屋から助け出した後に、妻として迎(むか)え、その子孫は代々この地を治めたということです。

※神さまメモ「ミケイリノミコト」
ミケイリノミコトはカムヤマトイワレヒコ(神武天皇)のすぐ上の兄でまたの名をミケヌノミコトといいます。神武天皇と一緒に東征に出発しましたが、途中で高千穂に帰り、鬼八を退治したといわれています。

【七つが池】(高千穂町)
高千穂峡にある池で、ミケイリノミコトがこの池のほとりを散歩している時に、水鏡に映るウノメヒメを見てひと目ぼれをされたところといわれています。
また、ミケイリノミコトに追い詰められた鬼八が、大暴れした末にこの池を飛び越えて逃げ延びようとしたとも伝えられています。

【鬼八の力石(きはちのちからいし)】(高千穂町)
高千穂峡にある高さ約3m、重さ200トンとも言われる巨石で、ミケイリノミコトが鬼八を退治する際に、鬼八がミケイリノミコトにこの石を投げ、力自慢をしたといわれています。
両者とも、軽々と石を持ち上げたそうですが、その時はミケイリノミコトが勝ったといわれています。

【鬼八塚(きはちづか)】(高千穂町)
ミケイリノミコトに退治された鬼八の胴塚といわれ、高千穂神社近くのホテル神州の前にあります。
鬼八は体を3つに切られ、別々の場所に埋められましたが、その後、毎年早霜を降らせて農作物に害を与えるので、人々は首塚、胴塚、手足塚をつくって、その霊をなぐさめたと伝えられています。

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