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更新日:2011年11月29日

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トンネルの駅(神楽酒造)

熊本県・大分県と境を接する高千穂町に、トンネルを利用した焼酎の長期貯蔵庫があると聞いてやって来た。

高千穂町の中心部を迂回する国道218号バイパスから、熊本県高森町方面に向かう国道325号で約3km。右手に赤い列車が見えてくる。これが神楽酒造のトンネルの駅だ。

早速、トンネル貯蔵庫を見学させてもらう。トンネル入口で見上げると、『葛原トンネル 全長1,115m 昭和53年10月1日着手 昭和55年9月3日しゅん工』と刻んだ、プレートが埋めこまれていた。

「このトンネルは、旧国鉄時代のものなんです」と、案内してもらった佐藤貴恵(きえ)さん。

「今は高千穂鉄道として走っていますが、旧国鉄時代に延岡から高千穂まであった高千穂線を延長して熊本県高森町まで結ぼうという計画がありました。山また山を走る延長約23kmのトンネル工事が始まったのは昭和48年のことで、いくつものトンネルが作られて工事は進んでいました。しかし、高森の方でトンネル内に水がわき出る事故があって、工事が中断してしまいました」

「結局、工事は中断したまま旧国鉄もなくなり、トンネルだけが残ってしまいました。平成9年になって旧国鉄精算事業団から高千穂町に払い下げられ、何か活かせる方法はないものかと、中の湿度と温度を調べたところ、1年を通じて湿度が70%、温度が17度という環境だということがわかりました。夏は涼しく、冬はあったかく感じる温度です。これなら焼酎をねかせるのにちょうどよい温度と湿度ではないか、ということで、焼酎の貯蔵庫として活用することになりました」

「このトンネルは長さが1,115m。奥がちょっと下り坂になっています。肌にひんやりくるのは湿度が高いせいもあるんです。蒸発も少ないことから、焼酎の長期貯蔵にぴったりの条件です」

トンネルの片側にずらりと樫樽が並んでいる光景は、焼酎というより、ウィスキーの蔵といった眺めだ。分厚くごつい樫樽は、人ひとりでは樽を抱いて手を回すこともできないぐらいの大きさだ。

「こちらの樽には、上から番号、製造年月日、容量が書かれています。ひとつに麦焼酎45度の原酒、440リットル入っています。一番奥から400メートル手前まで、5,000樽ちょっと並んでいます。入口に近い方が長く眠っているものです」

ナルホド、ウィスキーも焼酎も同じ蒸留酒なのだから、ウィスキーのような長期貯蔵があってもフシギではない。本格焼酎では、3年以上瓶や樽で貯蔵したものを長期貯蔵と表示することになっている。ちなみに、樫樽貯蔵に向くのはクセの少ない麦焼酎なのだそうだ。色も琥珀色になってウィスキーのような香りがついてくるのだ。この香りも、低温貯蔵ほどよく香りが出る。トンネルは焼酎貯蔵にもってこいの環境だったのだ。

トンネルの駅

トンネルの駅

これがトンネル貯蔵庫。本物のトンネルだ(高さ6m、幅4.8m

これがトンネル貯蔵庫。本物のトンネルだ(高さ6m、幅4.8m

案内の佐藤貴恵さん

案内の佐藤貴恵さん

ずらりと並ぶ貯蔵中の樫樽

ずらりと並ぶ貯蔵中の樫樽

試飲コーナーで限定商品発見

高千穂町内の物産と神楽酒造の焼酎を試飲・販売している高千穂観光物産館は、おみやげを求める観光客でいっぱい。やはり人気は焼酎の試飲コーナー。「どうぞ試飲していってください」と甲斐繁男支配人が、お客さんににこやかに声をかけている。

支配人、人気の焼酎はどれですか?

「人気があるのは『麦焼酎くろうま』の長期貯蔵酒ですね。特に10年貯蔵の『3650(さんろくごまる)』。1年が365日だから×10(かける10年)ってシャレたんですけど、香りもいいし、味もまろやかだし。あとここだけの商品は、『20世紀の宝物』という『麦焼酎くろうま』を瓶貯蔵した43度原酒ですが、これは日曜・祝日だけの限定販売なんです。高千穂まで来たから買える、そういう商品を用意しようという企画で、特別に原酒を出したんですが、これが好評で…。出せば売れる人気なので、いつでもお出ししたいところですが、なにせ原酒ですから数が少なくて」

やはり、長期貯蔵焼酎、人気アリ。
そのまま、屋外の列車を案内してもらう。

支配人の甲斐繁男さん

支配人の甲斐繁男さん

高千穂のおみやげや、神楽酒造の焼酎が買える

高千穂のおみやげや、神楽酒造の焼酎が買える

焼酎・地元の物産品・県内の物産品と3つのコーナーに分かれている

焼酎・地元の物産品・県内の物産品と3つのコーナーに分かれている

『20世紀の宝物』麦焼酎の写真

『20世紀の宝物』麦焼酎、43度、720ml

試飲コーナー の写真

試飲コーナー

列車、もちろん本物です

「入口の赤い列車は、高千穂鉄道を走っていたんですよ。平成14年からトロッコ神楽列車が走り始めて、ダイヤから外れた車輌なんです。平成16年春には、中を改装してちょっと休憩のできるレストランにする予定ですよ」と甲斐支配人。赤い列車は、ちょうどトンネル貯蔵庫の入口を向いている。このまま走っていきそうな錯覚を覚える。列車もトンネルも本物なんだなあ、と改めて思う。

ところで支配人、あのSLは?「あれは、熊本県菊水町から来たんです。大正10年生まれだそうですよ。長いこと公園にあったそうで、かなりボロボロになっていたのですが、直せるところはきれいに修理してやりました」

聞けば、このSLは通称86型と呼ばれる「48617」という機関車。現役時代は九州各地を走り回った機関車だという。引退後は玉名郡菊水町前原の菊水インター入口前にある町有地に置かれ、長年公園のシンボルとして人々に親しまれていた。しかし、物産館の建設のため平成15年8月いっぱいで撤去されることになり、引き取り手を探していたところに名乗りを上げたのが神楽酒造だった。こうしてスクラップ寸前だったSLは、ついに完成しなかった旧国鉄高千穂新線のなごりを伝えるトンネルの駅に末永く展示されることになった、というお話。

これまた筋金入りの本物だった。

最後に甲斐支配人からこんなメッセージ。
「折角こんな本物のトンネルがあるんです、本物を売っていきますよ。もちろん焼酎もこだわりの焼酎をね。高千穂に来たら、ちょっとだけ足を伸ばして寄ってみてください」

高千穂鉄道を走ったTR300形車輌の写真

高千穂鉄道を走ったTR300形車輌。ちゃんと線路もひかれ、乗り降り用のホームも作られている

神楽酒造株式会社の写真

神楽酒造株式会社。本社は天岩戸神社のある岩戸地区にある。創業は昭和29年11月

大正10(1921)年製造の蒸気機関車の写真 大正10(1921)年製造の蒸気機関車の写真 大正10(1921)年製造の蒸気機関車の写真

大正10(1921)年製造の蒸気機関車。昭和48(1973)年の引退まで、九州各地を走り回った。

地図

  • トンネルの駅
    • 高千穂町大字下野字赤石2221-1
    • 営業時間/9~18時
    • 見学、案内説明は無料
    • 年中無休
    • 問合せ/TEL.0982-73-4050
  • 神楽酒造株式会社

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